独裁の不合理
人間の身体は、独立したパーツの寄せ集めではなく、全部がまとまりをもった一つの存在である。各パーツの交換がまったくできないわけではないが、見方によっては、全体が密接に関係している。つまり有機体である。
社会や国家は、厳密には有機体ではないが、全体が一つの実体的な存在であるので、有機体と見なされることがよくある。いわゆる、社会有機体説である。比喩の常として、これをあまり絶対視すると破綻が生じるが、多くの場面では有効である。
身体によくないこと、バランスを失したことを行っていると、やがては病気になる。炭水化物を取り過ぎれば、糖尿病。塩分を取り過ぎれば、腎臓病。喫煙をすれば肺や心臓の病気。などなど、枚挙にいとまがない。こうした病気は、一定のレベルになると、回復不可能な状態になるものも多い。回復可能な物でも、地道で長い努力が必要である。
同じようなことが社会、国家、政府にも該当する。
安倍晋三政権は、異次元の金融緩和なるものを実行したが、それは、極端な金あまりを生み、物価高騰とインフレに結びついた。これは、元気がないから、糖分を供給するようなもので、一定以上継続すると、糖尿病になるのと同じ理屈である。悪化すると、それを治療するのは大変で、かなりの努力を要求することになる。現在の高市政権は、その弊害があきらかなのにその政策をまだ採用している。
強い権力は、さまざま忖度をうみ、政策を変更することを困難にする。権力が属人化すると、政策変更は権力への反抗という色彩を帯びるため、それが一層困難になる。多くの独裁的な権力が、政策の是正に失敗するのは、権力者が愚かなのではなく、独裁という権力の構造から、当然なことでして生じる事態である。毛沢東が大躍進を打ち出して、大飢饉を引き起こしたことも、こうした事例の典型である。日本でも、第二次世界大戦をいつまでも引きずってしまったことがある。
アメリカのトランプ大統領が、相互関税の実施、イラン攻撃など、いくつもの不合理な政策で、アメリカ、世界に混乱を引き起こしている。トランプ大統領は、王様気取りで、基本的に独裁者志向である。したがって、その政策が不合理なのは偶然の結果ではなく、不合理な政策が実施されるのは必然なのである。しかも、それは是正されにくい。そして、結果的にアメリカの国家全体を正常ならざる事態に引きずり込む。そして、アメリカのこの病気は、簡単に治療できないのである。
こういう事態が、世界のあちこちで同時に発生していることが、現在の状況である。
2026/04/05
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