フェイク情報の自己増殖
元卓球選手の石川佳純という人がいる。卓球選手として一流だったが、引退後、タレントとして活躍している。陳腐な表現を使えば、才色兼備、文武両道というタイプである。
最近、わたしのYouTubeのおすすめに、この石川佳純が唄を歌っている動画が出てきた。これが、異常にうまいのである。中国の流行歌らしい唄を中国語で歌っているのだが、完全にプロのような歌い方である。この人に限らず、卓球選手には中国語もうまい人が多い。卓球選手が歌がうまくても問題ないのだが、この動画の歌は、アマチュアの歌としては、多少不自然である。動画の説明はいずれも簡体字、つまり大陸流の漢字体である。ということは、これらの動画は中国大陸、ないしその系統の人が作成、投稿したものだろう。はたして、本物なのか。
この質問を、googleの検索に質問してみた。AI検索である。すると、石川佳純はラジオ番組で唄を歌っており、この動画も歌っているのも本人だろう、という回答であった。このラジオ放送も動画で投稿されている。これを見ると、確かに歌っているシーンはある。しかし、そこでの歌い方は、はいかにも素人の鼻歌という感じである。とても、玄人はだしの歌い手とは思えない。そもそも、歌っている動画も、本人が歌っている映像はなく、音声だけである。どうも、映像まで作る手間を省いたようである。
わたしの見るところ、この動画は他の人の歌唱、あるいはAIで作成した歌唱であろうと思われる。それをAI検索が本人だと判断したのは、ネット上の情報、それもフェイク情報も含んだもろもろの情報を集めて、それに基づいてのことであろう。つまり、フェイク情報の上にたって、判断を下しているのである。フェイク情報が次のフェイク情報を生み出しており、わたしがそれを信じて文章化すれば、そのフェイクがさらに再生産されることになる。わたしの文章が、情報となって、さらなるフェイクを生み出すことにもなろう。これでますます事実よりもフェイクの方が事実らしく見えることになる。
画像が、AIで作成したものかをAIでチェックする機能もあるらしいが、すべてそういうチェックで検証できるのだろうか。それが追いつかなければ、フェイクの自己増殖は続くはずである。
こんな見え見えの動画でも、AIは間違った判断をしてしまう。政治や社会問題に関する情報では、こういう自己増殖は当たり前ということだろう。
(もし、あの動画で歌っているのが、本人だったら、わたしが偽情報の張本人だということになるが。)
2026/05/24
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