高野秀行『間違える力』を読んだ。
高野秀行の本は、すべて、とまではいわないが、ほとんど読んできた。
『間違える力』は、2018年3月に角川新書で発行された本である。しかも、これは復刊である。原著はメディアファクトリーという出版社から、2010年3月に出版されている。
高野の本というと、普通の人の行かない場所へ行って、そこでの見聞を材料視にしたものが普通である。ところが、この本は、少し毛色が違う。この本は、高野がそうした自分の過去を振り返って、自分の生き方を考察するものである。いわば、メタな記述になっている。高野の本をある程度読んでいる人なら、ここで高野が回顧している出来事はだいたい読んで来ているに違いない。わたしも、ほとんどの事例は知っているものであった。
この本は、そうしたさまざまな経験を振り返って、その生き方を反省したものである。基本的には人生論といった性格のものである。それも、ハウツーものを目指している。しかし、高野自身が自覚しているように、高野の生き方は、若い人が模範にするべきものとは、ちょっといえない。だから、「間違える力」なのである。おそらく、この本は、はじめから、実用性など目指してはいないだろう。実用性のないハウツーものなのである。
高野は特定の生き方を提示しているわけではない。高野の生き方は普通の人のモデルになるようなものではない。その探検は、普通の人間なら躊躇するのが当然なものなのだ。その乱暴な計画、独自の関心が高野の魅力である。高野の魅力は、この独自性という言葉に集約されているだろう。
人は皆老いる、それにつれて、高野もこれまでのような行動は難しくなる。老人になった高野秀行はどのような境地を切り開くのか気に掛かる。
2026/01/18
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