『千字文を読み解く』を読む(続き)
『千字文を読み解く』を読んでいたら、鳳凰の説明が出ていた。鳳と凰には、違いがあり、前者が雄、後者が雌なのだと書いてある。漢和辞典を開くと、なんとこの説明が出てくる。知らないことばかりである。
ところで、この本、千字文の四字句の解説だけではなく、それぞれの漢字についての説明がついている。読んでいて気づいたのだが、漢字の成り立ちについて、著者の野村茂夫は、主として白川静の学説を利用している。白川の学説は、多くの支持者を得てはいるが、標準的な説明とはやや異なる。宗教やその儀礼との関わりを重視したものである。乱暴にいえば、漢字学の伝統よりは、自由な発想を駆使する傾向がある。それに対して、漢字学の伝統を踏まえて自説を作り上げたのが、藤堂明保である。彼の学説は学研の漢字源系統の漢和辞典の記述にいかされている。三省堂の漢字海や角川の新辞源などは、昔中国でできた説文解字の説明を基礎にして説明している。ということは、現在、漢字の成立については、主として三種類の説明が存在していることになる。もっともこの状況はだいぶ以前から変わっていないようだ。白川と藤堂の両先生の業績はそれだけ優れたものなのだろう。
あまり意識しないことだが、主要な研究者の存在が、学問の状況を左右する度合いは意外なほど大きい。それは、この二人の碩学に限ったことではない。
2026/03/22
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