中国経済の現状
5月8日の朝日新聞朝刊に、YouTube上でビジネスとして嫌中動画が垂れ流されているという記事があった。こういう動画は事実に基づくのではなく、嫌中意識を盛り上げたい人に喜ばれることを目的にしている。わたしは、中国関連の動画をよく見ているので、それに混じって、朝日が問題にしているようなお粗末な嫌中動画もおすすめに出てくる。中国人が海外で非常識な行動をとり、叱られるというものが多い。まあ、これには一部、事実も混じるので根も葉もないとはいえないのだが、やはり嫌中感情に乗っかったフェイクといえるだろう。
中国は、長年、日本より経済水準がはるかに低かった。それが、急激に上昇し、経済規模で日本を追い抜いた。その事実が、嫌中感情の背景にある。ここで重要なことは、こうした感情の水準を離れて、中国の現実を認識する必要がある。
しばらく前、中国の昨年のGDPの伸び率が5%だったと、報道された。これは、かねて中国政府が掲げていた予測値とぴったり一致している。だから、この数字には不信感がいだかれている。いくら中国でも、予測値ぴったりというのは能のない話しだから、たまたまこうなったのかもしれない。しかし、こうした中国政府の数字はそもそも信じられてはいない。中国の学者が2%程度だろうと発言して、弾圧されたという話がある。マイナスが実態だという人もある。
GDP以外の数字はどうだろう。中国の現在の消費者物価指数の変動は1.0程度、生産者物価指数の方は1.0へ上昇である。生産者物価指数はマイナスからプラスに転じたのだが、その主な原因はアメリカとイランの戦争による物価上昇ではないかという意見がある。とすると、この上昇は、悪いインフレの典型である。
いすれにしても、中国で物価が停滞していることは間違いない。これは、中国経済の現状が、数年来の停滞を脱していないことを物語っている。
この背景に、中国の経済的な体力の衰えの問題が存在する。中国の労働力人口(15歳から64歳)は、2013年にピークを迎え、10.1憶人であった。それが、2024年には9.7憶人まで減少した。2050年には、6億6600万人と予想されている。予想とはいっても、人口の問題なので、大きな狂いは生じようがない。中国経済を発展させた一因である人口ボーナスは消滅しているのである。
中国の経済は、輸出偏重であって、国内消費が弱い。この状態を脱していないということは、中国も異例な規模の経済力を持つとはいえ、中進国の罠に陥ってしまう可能性がある。年金の不備はその一例である。
これは、中国にとって問題であるだけではなく、世界の経済にとっても、大きな問題である。大きな市場である中国の経済不振は、世界経済にとってもマイナス要因である。ちなみに、これから発展の望めるインドでも、同じ現象が起こる可能性がある。
近代的な経済体制が限界に来ているという可能性がある。嫌中などといっている場合ではない。
2026/05/10
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