あれ、中島みゆき、じゃね?

  台湾の唄に、「哭沙」という作品がある。ここの文章で は時々台湾語の唄について触れてきたが、この唄は台湾語ではなく、台湾華語(中国語)で書かれている。発音は、ku1sha1、日本人の耳みはクーシャーと聞こえる。台湾人的な発音では、クーサーになる。この唄、1992年に、台湾のレコード大賞にあたる金曲奨で、作曲賞を獲得している。受賞した作曲家は熊美玲という人である。この唄を歌ったのは、黄鶯鶯、台湾の伝説的な歌手である。現在も存命で、えている。いい歌なので多くの歌手がカバーしており、Youtubeにたくさんアップされている。

 この曲、さすがに時間が経って、なつかしの名曲に近づきつつあったのだが、一昨年、突然、再生されたのである。作曲者の熊美玲が自分で新しく歌いなおした。今度は、歌詞を台湾語で書いたである。かなり印象の違う唄になっている。題名も「秋離」という変わっている。台湾語では、哭沙という単語は使いにくかったのかもしれない。熊美玲自身が、作り直した事情を語っているインタビューもアップロードされている。うまい歌唱というよりも、作曲家らしい、味わいのあるタイプの歌唱である。曲は、同じである。

 この人の夫が作詞家で、名前が林秋離という。この唄が作られてた直後、癌で逝去している。そういう事情もあって、熊美玲がテレビ番組でこの唄を歌うと、出演者がしんみりとしてしまう。有名な歌手の詹雅雯が泣いている番組など二度もみてしまった。もっとも、そういう事情を知らなくても、泣いて不思議のないしみじみとしたいい唄である。

 この熊美玲という人、名前も珍しいが、作曲家らしく個性的で知的な雰囲気の人である。ただし、本人は芸能人というより、どこにでもいるおばさん風の人である。

 この人、アルバムも出していて、その題名は「一路平安」という。旅行に行く人などに向かって送る決まり言葉である。「おげんkそのアルバムに、同じ題名の唄が収められている。この唄もいい曲である。しかし、日本人がこの唄を聞いてみると、強い違和感を覚るだろう。中島みゆきの「ホームにて」に酷似したメロディーが使われているのである。中島みゆきは、台湾では中島美雪という表記でよく知られている。台湾のYahoo!で調べても、こういう指摘は見当たらないので、もしかしたら、わたしのこじんてきな思い込みなのかもしれないが・・・。


(一路平安、秋離、哭沙、すべてYoutubeで検索すれば、聞くことができます。)


2025/04/27 


コメント

このブログの人気の投稿

『三国志を歩く、中国を知る』を読んだ。

『幽霊の脳科学』を読んだ。

『大観音の傾き』を読んだ